鉛色の空が少しずつ明るさを増し、昼の時間が長くなってきたのを感じるころ、大地が春への鼓動を始める。

それは白鳥の北帰行だったり、雪しろを感じて遡上するサクラマスだったりする。

そして里山の日当たりのいい尾根では、厳しい冬に耐えたオーレンやオオミスミソウ、カタクリたちがけなげに咲き出す。

この頃になると、青空をバックに真っ白な雪をまとった鳥海山の秀麗な姿を見る機会も増えてくる。

平野の雪が消えると待ち構えていたように、梅や桜が開花する。

そして、鳥海山の笙ヶ岳に種まき爺さんが出るころ、春先の農作業がピークをむかえる。